統合失調症の治療の中心は、脳内の神経伝達物質のバランスを整える「抗精神病薬」の服用です。現在では多くの薬が開発されており、患者さんの症状や体質に応じて適切な薬を選択します。当院では、副作用にも配慮しながら、安全で継続しやすい治療を心がけています。
抗精神病薬は、大きく以下の2つに分類されます。
●定型抗精神病薬(第一世代)
1950年代から使用されている薬で、幻覚・妄想に対して効果がありますが、錐体外路症状(手のふるえ・筋硬直など)の副作用が比較的強く出やすいです。
●非定型抗精神病薬(第二世代)
1990年代以降に登場した新しいタイプの薬で、陽性症状とともに陰性症状や気分の安定にも効果があり、副作用が比較的軽減されています。
薬の種類 | 主な製品名 | 特徴・副作用 |
---|---|---|
定型抗精神病薬(第一世代) | ハロペリドール(セレネース) スルピリド(ドグマチール) |
幻覚・妄想への効果が高いが、筋肉のこわばり、震えなどの副作用が出やすい |
非定型抗精神病薬(第二世代) | リスペリドン(リスパダール) | 陽性・陰性症状ともに効果があり、錐体外路症状が比較的少ない |
オランザピン(ジプレキサ) | 効果が強いが、体重増加や糖代謝異常の副作用に注意が必要 | |
クエチアピン(セロクエル) | 眠気が出やすいが、気分の安定にも効果があり再発予防に有用 | |
新しい薬(第3世代) | アリピプラゾール(エビリファイ) | ドパミン部分作動薬で、副作用が少なく、長期的に使いやすい |
ブレクスピプラゾール(レキサルティ) | 最新の薬で、統合失調症と併存うつへの効果が期待される |
デポ剤(持効性注射薬)とは、抗精神病薬を筋肉に注射することで、薬効を数週間から1カ月以上持続させる治療法です。内服薬と異なり、毎日の服薬が不要となり、飲み忘れによる再発リスクを減らすことができます。定期的に外来で注射を受けるだけで済むため、服薬管理が難しい方や再発を繰り返している方に特に適しています。
製品名 | 有効成分 | 注射間隔 | 特徴 |
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リスパダールコンスタ | リスペリドン | 2週間ごと | 国内初の非定型抗精神病薬のデポ剤。効果と安全性が実績あり。 |
ゼプリオン | パリペリドン | 1カ月ごと | 月1回の注射で管理が容易。症状安定後の再発予防に有効。 |
ゼプリオンTRI(トリマンス) | パリペリドン | 3カ月ごと | 3カ月に1回の注射で長期管理が可能。海外でも使用実績が豊富。 |
エビリファイ持効性注射 | アリピプラゾール | 1カ月ごと | 副作用が比較的少なく、意欲低下への影響も少ない。 |
薬の効果や副作用には個人差があります。副作用を減らしながら最大限の効果を引き出すために、医師が症状や体質、生活スタイルを考慮して薬を選択します。副作用が出た場合や、効果が不十分な場合は、薬の変更や量の調整を行いますので、医師に遠慮なくご相談ください。
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